血液透析を行うには1分間に約150~200mlの血液を体の中から取り出して装置に循環させ、またその血液を体に返す必要があります。通常の静脈ではそれほど多くの血液を短時間に取り出すことはむずかしいので、血液を取り出すために腕の動脈と静脈をつなぎ合わせる手術を行います。これをシャント、またはバスキュラーアクセスといいます。
透析シャントについて
透析シャントとは?
以下のような症状のある方はご相談ください
- シャントの音が弱い
- 透析中、血流量が十分にとれない
- 返血側の圧(静脈圧)が高い
- 針の穿刺がうまくいかない
- シャント側の腕が腫れる
- シャントに瘤(こぶ)を改善したい
- シャント音が聞こえにくい
- シャント肢の手指が冷たい
自己血管内シャント
シャントでは最も一般的な方法で、前腕の動脈と静脈をつなぎ合わせる手術を行います。これによって静脈内に動脈からたくさんの血液が流れ込むようになるため静脈が太くなり、この血管に注射をすることで透析に必要な血液を取り出すことができます。他のシャントと比べて、長期間使用できやすいなどの長所がありますが、手術後、静脈が太くなるまで数週間待つ必要があります。
人工血管内シャント
静脈が細いなどの理由から自己血管内シャントを作成できない場合に選択されます。人工の血管を皮下の浅い位置に埋め込み、腕の動脈と静脈をつなぎ合わせ、人工血管に注射を行うことで、透析に必要な血液量を取り出すことができるようになります。手術後、早くから使用できるなどの利点がありますが、自己血管内シャントと比べて、人工血管とのつなぎ目が狭くなる(狭窄)などのトラブルが多い問題点もあります。三康グループでは、人工血管を使用されている方に対し定期的な検査を実施し、トラブルを早期発見することにより、人工血管をできる限り長く使っていただけるよう工夫を行っています。
シャントPTA治療
シャント管理の注意点
内シャントは長期間使用することが可能ですが、血管が細くなったり、詰まったりするなどのトラブルを起こすこともあります。大切なシャントを長く使っていただくためには、日常の生活での注意点など、日々の管理も非常に大切です。
シャント閉塞(つまる)の予防
- シャントのある腕で血圧を測定したり、止血バンドを長時間使用しない
- 重い荷物(買い物袋など)をシャント側の腕にかけたり、きつい腕時計や服装をさける
- 起床時、昼食時、寝る前など一日の内に何回かはシャントの音を聞いたり、シャントに触れる習慣をつけましょう
シャント感染(ばい菌)の予防
- 透析を行った日はお風呂に入らないようにしてください
- 入浴時は注射跡からばい菌が入らないように気をつけてください
- 汚れた絆創膏はばい菌が入る原因になりますので、交換してください